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文化財を楽しむ

中部 Volume.09

広重の東海道

江戸時代の旅人が見た風景と出会う

いまから約200年前、江戸時代の日本に空前の旅行ブームが起こります。
その火付け役になったのが、十返舎一九(じっぺんしゃ いっく)の本「東海道中膝栗毛(ひざくりげ)」と歌川広重(うたがわ ひろしげ)の浮世絵「東海道五拾三次(ごじゅうさんつぎ)」です。
広重が描いた東海道の風景・風物は、人々の旅心を強く刺激し、はるかな旅路へと誘いました。当時は、各地に関所が設けられ、自由な移動が制限されていた時代です。しかし人々は神社仏閣への参詣、治療のための湯治などを口実にして、まだ見ぬ風景に出会うために、旅へと出かけました。
旧東海道筋には、いまも当時の面影がいたるところに残されています。蒲原宿から江尻宿にかけてもその一つ。江戸時代の旅人が歩いたまちなみ、眺めた景色を歩きながら、広重の時代にタイムスリップした気分で、江戸の豊かな文化を探しにいきます。

01

江戸時代の名家の土蔵「渡邊家土蔵」

蒲原(かんばら)宿は、日本橋から15番目の宿場町。広重は「東海道五拾三次(保永堂版)」のなかで、「蒲原 夜之雪」として、蒲原宿を幻想的な雪景色で描いています。
渡邊家は蒲原宿の宿で「木屋」の屋号を掲げた材木問屋で、江戸時代に名主の代表も務めた名家でした。現在も残る渡邊家土蔵[市指定建造物]は、1839年に建てられたものです。土蔵の中には蒲原宿の様子を記した渡邊金璙の生涯略記[市指定古文書]をはじめ、江戸時代の歴史や文化等に関する資料が残されており、約3000点が市の文化財に指定されています。
現在、土蔵は木屋江戸資料館として、これらの貴重な資料を展示・公開しています。

Spot Access

渡邊家土蔵(木屋江戸資料館)[市指定建造物]
住所:静岡県静岡市清水区蒲原2-2-30
電話:054-385-3441(個人宅のため、定休日は不定的です。在宅であれば対応します。電話でご確認ください)
駐車場:なし
見学所要時間[参考]:20分

02

商家の暮らしが分かる歴史館「志田家住宅主屋」

木屋江戸資料館(渡邊家土蔵)から西へ、宿場町のまちなみが残る街道を進むと、「やま六」の屋号で醤油や味噌を醸造してきた商家、志田家住宅主屋[国登録建造物]があります。
建物は、間口が狭く奥行きが長い、典型的な町屋建築。街道に面した店前には、はねあげ式の蔀戸(しとみど)があり、箱階段、囲炉裏などが、残っています。
現在、志田邸の醤油製造場(工場)・土蔵等は「東海道町民生活歴史館」として、江戸後期から昭和前期にかけての生活用品を展示しています。

Spot Access

志田家住宅主屋[国登録建造物]
住所:静岡県静岡市清水区蒲原3-19-28
電話:054-385-7557
駐車場:なし
見学所要時間[参考]:20分

03

広重の風景版画などを中心に所蔵「東海道広重美術館」

東海道広重美術館は、由比(ゆい)宿の本陣跡「由比本陣公園内」に開設された、江戸時代の浮世絵師・歌川広重の名を冠した美術館です。
所蔵品は、「東海道五拾三次」の保永堂版・隷書東海道・行書東海道の他、「名所江戸百景」など、広重の風景版画を中心に約1400点を数えます。
また、様々な視点から浮世絵の魅力を伝える企画展を定期的に開催。モネやゴッホをはじめとして、欧米の画家にも大きな影響を与えた、江戸の芸術文化を楽しめます。
由比本陣公園内には、美術館の他に由比宿の歴史が学べる「東海道由比宿交流館」、明治天皇がご小休された離れ座敷を復元した「御幸邸」もあります。

Spot Access

静岡市東海道広重美術館
住所:静岡県静岡市清水区由比297-1
電話:054-375-4454
駐車場:あり
見学所要時間[参考]:50分(由比宿交流館・御幸邸を含む)

04

東海道の名主の重厚な民家「小池家住宅」

小池家は、江戸時代、由比宿と興津(おきつ)宿の間にある寺尾村の名主を代々務めてきた名家です。東海道名主の館(小池家住宅)[国登録建造物]は明治期に建てられたものですが、切妻造り・瓦葺の平屋の民家は、西側が土間、東側が田の字型で仕切った居室になっており、名主の家にふさわしい重厚な造りとなっています。建物は現在、「東海道名主の館」として保存公開されています。
また、小池家住宅の向かいには、なまこ壁の建物「由比宿東海道あかりの博物館」があり、大正から昭和初期の照明など、1000点以上が展示されています。

Spot Access

東海道名主の館(小池家住宅)[国登録建造物]
住所:静岡県静岡市清水区由比寺尾464-9
電話:054-376-0611
駐車場:あり
見学所要時間[参考]:30分(由比宿東海道あかりの博物館を含む)

05

東海道を旅した朝鮮通信使の宿泊地「清見寺」

興津宿は甲府へと続く「身延道」との分岐にあたる宿場町で、古代から交通の要衝として栄えてきました。歴史ある寺院も多く、東海道屈指の名刹、清見(せいけん)寺[国指定史跡]もその一つです。清見寺庭園[国指定名勝]をはじめ、梵鐘(ぼんしょう)・山門・書画など、多くの文化財が残っています。
庭園は「築山(つきやま)池泉回遊式庭園」という形式で、回廊をめぐりながら、背後の裏山を借景に活かした美しい庭を様々な角度から眺めることができます。
また清見寺は、李氏朝鮮からの使節「朝鮮通信使」の宿泊地でもありました。朝鮮通信使は、江戸時代、将軍の代替わりのたびに計12回来日し、東海道を通って、京都から江戸に向かいました。寺には、関係する史跡・資料などが残り、国・県の文化財に指定されています。

06

時代劇や浪曲で知られる幕末の人物「次郎長生家」

次郎長生家(旧高木家住宅)[国登録建造物]は、時代劇や浪曲などで知られる、清水次郎長(山本長五郎)が生まれた家です。周辺には、清水港のある江尻宿の発展を支えた廻船問屋が軒を並べていました。
建物は、間口が狭く奥行きが長い町屋建築。中庭を設けて、通り土間で玄関と裏口をつなぐ構造は、その特徴をよく表しています。
次郎長生家から港橋を渡った巴川の向こう岸には、次郎長の船宿を復元した「清水港船宿記念館『末廣(すえひろ)』」があり、清水港の歴史を紹介しています。

Spot Access

次郎長生家(旧高木家住宅)[国登録建造物]
住所:静岡県静岡市清水区美濃輪町4-16
電話:054-353-5000
駐車場:あり
見学所要時間(参考):20分

ここでひといき Tea Break

由比宿名物のたまご餅

たまご餅は、東海道中膝栗毛で「名物さとう餅」として登場する由比宿の名物です。1926年創業の老舗和菓子店「春埜(はるの)製菓」では、江戸時代から伝わる昔ながらの「たまご餅」を販売しています。餅はうるち米、あんこは厳選された北海道産の赤小豆でつくられた「たまご餅」は、ほんのり上品な甘さが魅力です。

Spot Access

春埜製菓
住所/静岡県静岡市清水区由比北田92

足をのばして And More

緑の木立の中、旧東海道を歩く「菊川坂石畳」

東海道菊川坂石畳[県指定史跡]は、諏訪原(すわはら)城跡から菊川宿へ至る途中にある石畳です。2000年の調査で、舗装されていた農道の下から、楕円形の河原石が幅2.9m~4.2m、長さ161mにわたって敷き詰められていることが発見されました。
東海道の石畳は三島市や函南町でも見つかっていますが、菊川坂の石畳は保存状態もよく貴重なものです。諏訪原城跡[国指定史跡]を訪れたついでに、緑の木立の中を石畳のうえを歩きながら、東海道の旅人の気分を味わってください。

Spot Access

東海道菊川坂石畳[県指定史跡]
住所:静岡県島田市菊川1007-13
電話:0547-36-7967(島田市観光文化部)
駐車場:なし(諏訪原城ビジターセンター 駐車場利用可)
見学所要時間[参考]:10分

今回のモデルケース

今回のモデルコース

JR東海道線 新蒲原駅
徒歩5分
01 渡邊家土蔵(木屋江戸史料館)
見学所要時間(参考)/10分
徒歩15分
02 志田家住宅主屋(東海道町民生活史料館)
見学所要時間(参考)/20分
徒歩15分
JR東海道線 新蒲原駅
電車で6分
JR東海道線 由比駅
徒歩15分
春埜製菓
徒歩20分
03 静岡市東海道広重美術館(由比本陣公園)
見学所要時間(参考)/50分
徒歩40分
04 小池邸
見学所要時間(参考)/30分
徒歩10分
JR東海道線 由比駅
電車で5分
JR東海道線 興津駅
徒歩15分
05 清見寺
見学所要時間(参考)/60分
徒歩15分
JR東海道線 興津駅
電車で4分
JR東海道線 清水駅
バスで5分
しずてつバス 港橋バス停
徒歩5分
06 次郎長生家(旧高木家住宅)
見学所要時間(参考)/20分
徒歩5分
しずてつバス 港橋バス停
バスで5分
JR東海道線 清水駅
散策途中
Tourism Association この地域の観光協会

するが企画観光局 清水駅前観光案内所
Tel.054-367-9613 [営業時間]9:00-17:45・年末年始(12/29-1/3)休業

島田市観光協会
Tel.0547-46-2844 [営業時間]月曜、祝日の翌日定休

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