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文化財を楽しむ

中部 Volume.011

万葉の古道

「やきつべの小径」と「つたの細道」を歩く

静岡市と焼津市との間には日本坂峠、藤枝市との間には宇津ノ谷峠という二つの峠があります。現在は峠をトンネルが通っていますが、かつては西国から東国へ向かうためには、どちらかの峠を越えなくてはなりませんでした。
古事記によると、ヤマトタケルは日本坂峠を越えて、東国征討に向かったと伝えられています。ヤマトタケルの歩いた道は、最古の東海道「やきつべの小径」と考えられています。万葉集に「焼津辺(やきつべ)に わが行きしかば 駿河なる 阿部の市道に 逢いし児らはも」とうたわれた古道です。
もう一つの峠、宇津ノ谷峠は古くから交通の要衝として知られていました。江戸幕府は、宇津ノ谷峠越えの道を東海道として整備しましたが、それよりも昔、峠越えの道がありました。「つたの細道」と呼ばれる古道です。つたの細道は、平安時代の文学作品「伊勢物語」にも登場し、「駿河なる 宇津の山べのうつつにも 夢にも人に あはぬなりけり」という歌が残されています。
はるかな歴史と豊かな文化に続く道。万葉の古道、やきつべの小径とつたの細道を歩きます。

01

黒塀の長屋門造りの家なみが続く「花沢の里(花沢地区)」

花沢の里(焼津市花沢)[国指定伝統的建造物群]は、奈良時代の東海道とされる「やきつべの小径」の途中にある、30戸ほどの山村集落です。この辺りは傾斜地のため、石垣を築いて平地をつくり、その上に家が建てられました。また、昔からみかんの栽培が盛んだったため、繁忙期に季節労働者が泊まるための長屋門が造られています。黒塀の長屋門が続く家なみや水車小屋は、懐かしい日本の風景です。
伝統的な建物群が織りなす歴史的な景観が評価されて、花沢の里は2014年に静岡県で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

Spot Access

焼津市花沢[国指定伝統的建造物群]
住所:静岡県焼津市花沢33(花沢地区ビジターセンター)
電話:054-626-6266(焼津市観光協会)
駐車場:あり(花沢地区ビジターセンター)
見学所要時間(参考):90分(ゆったり散策・法華寺含む)

02

金剛力士像の仁王門がある古刹「法華寺」

法華寺[県指定彫刻]は、花沢の里の北側にある天台宗の古刹です。平安時代の創建とされ、秘仏である本尊の千手観音菩薩は行基作と伝えられています。
境内には、本堂や日枝神社、金剛力士像の仁王門[市指定建造物]があります。また本堂には、廃寺となった東照寺の本尊とされる木造聖観音立像[県指定彫刻]も安置されています。
聖観音立像は寄木造りの等身大立像です。もとは彩色されていたらしく、ところどころに漆箔が残っています。切れ長の目、ふくらみのある頬の優美な顔の形、細身の体が特徴で、平安後期の仏像と考えられています。

Spot Access

法華寺[県指定彫刻等所蔵]
住所:静岡県焼津市花沢3
電話:054-626-6266(焼津市観光協会)
駐車場:あり(花沢地区ビジターセンター)
見学所要時間(参考):90分(ゆったり散策・花沢の里含む)

03

自然を感じながら、つたの細道を歩く「つたの細道公園」

つたの細道は、静岡市と藤枝市の間にある東海道宇津ノ谷峠越[国指定史跡]を構成する古道です。伊勢物語に「つたかえては茂り」とあることから、「つたの細道」と呼ばれました。
つたの細道の西側(藤枝市側)入口には「つたの細道公園」があり、木和田川に沿って、純和風の橋や休憩所、芝生広場などが整備されています。アジサイや紅葉の名所としても知られ、人々の憩いの場となっています。
また園内には、明治時代に築造された木和田川砂防堰堤(せきてい)[国登録建造物]が当時のまま保存されています。

Spot Access

つたの細道公園[国登録建造物有]
住所/静岡県藤枝市岡部町岡部2030-2
電話:054-643-3487(藤枝市花と緑の課)
駐車場:あり
見学所要時間(参考):90分

04

江戸時代、間の宿として栄えた「宇津ノ谷」

16世紀、豊臣秀吉は小田原征伐にあたって、つたの細道よりも北西に新しい峠越えの道を整備しました。江戸時代、この道が東海道であり、東海道宇津ノ谷峠越[国指定史跡]を構成する道の一つです。
宇津ノ谷の集落は、峠越えの旅人の休憩所として、茶屋が立ち並ぶ「間の宿」として栄えました。そんな茶屋の一つが「御羽織屋」です。その名前は、秀吉にほめられて、羽織[市指定工芸品]を拝領したことに由来します。その後に徳川家康も訪れて茶碗を贈りました。このことから、縁起のよい茶屋として参勤交代の大名も立ち寄ったとも伝えられています。

Spot Access

宇津ノ谷の集落[国指定史跡の一部]
住所/静岡県静岡市駿河区宇津ノ谷
電話:054-253-1170(するが企画観光局)
駐車場:なし(道の駅「宇津ノ谷峠」駐車場利用)
見学所要時間(参考):30分

05

日本初の有料トンネル「明治宇津ノ谷隧道」

1876年、明治の初めに東海道の難所である宇津ノ谷峠にトンネルが開通しました。明治宇津ノ谷隧道(ずいどう)[国登録建造物]は、日本で初めての有料トンネルです。1904年に改修されてレンガで固められ、歴史を感じさせる、趣のあるトンネルになっています。
宇津ノ谷峠には、大正、昭和、平成とトンネルが造られました。これらのトンネルの開通により、宇津ノ谷の峠越えを労することなく、東西が結ばれることになったのです。

Spot Access

明治宇津ノ谷隧道[国登録建造物]
住所:静岡県静岡市駿河区宇津ノ谷
電話:054-253-1170(するが企画観光局)
駐車場:なし(道の駅「宇津ノ谷峠」駐車場利用)
見学所要時間(参考):10分

ここでひといき Tea Break

花沢の里の古民家カフェで憩う「蔵&庭カフェ」

カントリーオーブン(蔵&庭カフェ)は、築130~140年のみかん農家の「なまこ壁」の蔵を利用した古民家カフェです。懐かしい郷愁を誘う空間で、花沢の里の豊かな緑を感じながら、手作りの焼き菓子やおいしい挽きたてのコーヒーを楽しむことができます。
やきつべの小径の散策ついでに、ひと休みも良いかもしれません。

Spot Access

カントリーオーブン
住所:静岡県焼津市花沢18

足をのばして And More

急坂が続く旧東海道の難所、「小夜の中山峠」

日坂宿と金谷宿の間にある小夜(さよ)の中山峠は、樹木が生い茂り、急坂が続く難所として知られていました。平安時代の歌人の西行は峠越えの時、「年たけてまた越ゆべしと思いきや 命なりけり小夜の中山」という和歌をよみ、小夜の中山公園には、この歌碑が建てられています。
また峠は、遠州七不思議の一つ「夜泣石伝説」でも有名です。峠の茶屋「扇屋」では、この伝説にちなんだ名物「子育て飴」が売られています。

Spot Access

小夜の中山峠
住所:静岡県掛川市佐夜鹿
電話:0537-24-8711(掛川観光協会)
駐車場:あり
見学所要時間(参考):60分

今回のモデルケース

今回のモデルコース

東名高速道路焼津IC
車で15分
01 花沢の里・法華寺
見学所要時間(参考)/90分
車で25分
03 つたの細道公園
見学所要時間(参考)/90分
車で5分
道の駅「宇津ノ谷峠(静岡市・上り)駐車場」
徒歩10分
04 宇津ノ谷の集落
見学所要時間(参考)/30分
徒歩20分
05 明治宇津ノ谷隧道
見学所要時間(参考)/10分
徒歩27分
道の駅「宇津ノ谷峠(静岡市・上り)駐車場」
車で20分
東名高速道路焼津IC
散策途中
Tourism Association この地域の観光協会

焼津市観光協会
Tel.054-626-6266 [営業時間]8:30-17:15・年末年始休業

藤枝市観光協会
Tel.054-647-1144 [営業時間]9:00-18:00・年末年始休業

するが企画観光局 静岡市総合観光案内所
Tel.054-253-1170 [営業時間]9:00-17:45・年末年始(12/29-1/1)休業

掛川観光協会
Tel.0537-24-8711 [営業時間]9:00-17:00

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