• Instagram
  • Youtube
  • X

レガシズ レガシズ

文化財を楽しむ

伊豆 Volume.01

黒船の時代

幕末、開国の扉を開いた、日本外交の中心地へ。

江戸時代の日本は200年以上にわたり鎖国政策をとり、海外との交通や貿易を禁じていました。
しかし1853年、アメリカ海軍のペリー提督は「黒船」と言われた軍艦を率いて浦賀(神奈川県)に来航すると、幕府に開国を強く要求します。外圧に負けた幕府は「日米和親条約」を結び、下田・箱館(函館)の二つの港の開港を認めることになりました。
1954年、ペリー提督が下田に入港。この地は一躍、日本外交の中心地になりました。
1956年には、初代アメリカ総領事のハリスが下田に着任。ハリスの目的は、貿易のための通商条約の締結でした。ハリスと幕府代表の交渉の末、1958年に「日米修好通商条約」と「貿易章程」が結ばれ、横浜の開港が決まります。これにより、外交の中心は東京・横浜へと移りますが、開国から6年間にわたり日本外交の舞台だった下田のまちには、いたるところに、この「黒船の時代」の足跡が残っています。

01

アメリカの水兵が行進した石畳の小径「ペリーロード」

ペリーロードは、了仙寺へと続く川沿いの小径です。ペリー艦隊が下田に入港し、軍楽隊を含む約300人の水兵で行進したことから、名付けられました。伊豆石の「石倉」や「なまこ壁」の家、柳の並木が続く街なみは、その昔、「出船入船三千隻」とうたわれた港町下田の風情をいまに伝えています。
ペリー艦隊上陸の碑からペリーロードを通り、長楽寺[市指定史跡]、了仙寺[国指定史跡]を散策すれば、ペリーの目に映った下田のまちなみが浮かび上がってくるはずです。

Spot Access

ペリーロード[第7回 静岡県都市景観賞最優秀賞受賞]
住所:静岡県下田市3丁目
電話:0558-22-1531(下田市観光協会)
見学所要時間(参考):45分(ゆったり散策)

02

ペリーと幕府代表の外交の舞台「了仙寺」

了仙寺[国指定史跡]は、1635年に建立された日蓮宗の寺院です。この寺で、ペリーと幕府の代表が日米和親条約の細かい規定(下田条約)について話し合いました。境内に隣接して「MoBS 黒船ミュージアム」があり、黒船来航の関連資料、当時の様子を伝える絵巻物・かわら版、ペリーの遺品などが展示されています。
境内から参道にかけては、数百株のアメリカジャスミンが植えられており、「ジャスミンの寺」としても知られています。

Spot Access

了仙寺 [国指定史跡]
住所:静岡県下田市七軒町3-12-12
電話:0558-22-0657(了仙寺)
駐車場:あり
営業時間(黒船ミュージアム):8:30~17:00
入場料(黒船ミュージアム):大人 500円、小人 250円
定休日(黒船ミュージアム):年末年始(12/24~26)
見学所要時間(参考):50分(拝観・ミュージアム見学)

03

日露和親条約が締結された「長楽寺」

日米和親条約が締結されると、他の列強諸国も同様の条約締結を迫るようになりました。
1854年11月、ロシア使節のプチャーチンは、ディアナ号で下田に入港し、条約交渉を開始します。しかし、交渉中に大地震が起こり、それに伴う大津波によりディアナ号は大破してしまいました。このようななかでも交渉は進められ、同年12月、長楽寺[市指定史跡]で日露和親条約が締結されました。長楽寺の資料館には、当時の資料などが展示されています。

Spot Access

長楽寺 [市指定文化財]
住所:静岡県下田市3丁目13-19
電話:0558-22-0731(長楽寺)
駐車場:あり
見学所要時間(参考):20分

04

日本初のアメリカ領事館となった「玉泉寺」

1856年、ハリスは初代アメリカ総領事として下田に着任すると、玉泉寺[国指定史跡]をアメリカ領事館として、幕府との交渉にあたりました。境内には「ハリス記念館」があり、ハリス愛用の遺品や関係資料、駿河湾沖で沈没したロシアの軍艦「ディアナ号」の資料などが展示されており、またペリー艦隊乗員のアメリカ人や、ディアナ号乗員のロシア人墓地が残っています。
玉泉寺でのハリスと幕府代表との交渉のすえ、1858年に「日米修好通商条約」が結ばれ、横浜港の開港が決定。これにより、玉泉寺のアメリカ領事館は閉鎖され、外交の中心は下田から首都東京・横浜へと移ります。

Spot Access

玉泉寺 [国指定史跡]
住所/静岡県下田市柿崎135
電話:0558-22-1287(ハリス記念館)
駐車場:あり
営業時間(ハリス記念館):8:30~16:30
入場料(ハリス記念館):大人 500円、小人 200円
見学所要時間(参考):40分(拝観・記念館見学)

05

海外密航を決意した松陰が寄寓「吉田松陰寓寄処」

吉田松陰は、明治維新で活躍した志士たちに大きな影響を与えた人物です。1954年、25歳の松陰は世界情勢を知るために海外密航を決意し、金子重輔(かねこ しげのすけ)とともにアメリカ艦船が停留する下田を訪れました。吉田松陰寓寄処(よしだしょういんぐうきしょ)[県指定史跡]は、この時に寄寓した(一時的な仮住まいとした)医師村山行馬郎(むらやま ぎょうまろう)の邸宅で、宿泊した部屋や温泉風呂を見学することができます。松陰たちは弁天島から小舟で艦船に向かいましたが、アメリカ側に拒否されて失敗に終わりました。その後、松陰は郷里の萩で松下村塾(しょうかそんじゅく)を開き、子弟の教育にあたりましたが、安政の大獄に連座して刑死します。

Spot Access

吉田松陰寓寄処 [県指定史跡]
住所:静岡県下田市蓮台寺300-1
電話:0558-22-1531(下田市観光協会)
駐車場:あり
営業時間:10:00~17:00
定休日:水曜日
入場料:大人 100円、小人 50円
見学所要時間(参考):30分

06

開国の港町を一望する古城跡「下田公園」

下田公園は下田港の西に位置する高台の公園で、下田の市街地と港が一望できます。公園は下田城の城跡[市指定史跡]でもあり、天守台跡や二の丸、三の丸、空堀の跡が残っています。
園内には、幕末から明治にかけて活躍した写真家「下岡蓮杖(しもおか れんじょう)の碑」、ペリーとハリスのレリーフが埋め込まれた「開国記念碑」があります。15万株300万輪が咲き誇る、日本一のアジサイ園としても知られ、毎年6月には下田アジサイ祭りが開催されます。

Spot Access

下田公園(市指定史跡有)
住所:静岡県下田市3丁目
電話:0558-22-1531(下田市観光協会)
駐車場:あり

ここでひといき Tea Break

初代領事ハリスの故事に由来「ハリスさんの牛乳あんパン」

初代米国領事ハリスが、下田の地で牛乳を飲んだことに由来したあんぱんです。
北海道十勝産の小豆を自家製餡した、あっさりして口どけの良い餡とフレッシュバターを、牛乳を練り込んだ軟らかな生地で包み焼き上げています。

Spot Access

平井製菓株式会社
住所/静岡県下田市2丁目11-7

足をのばして And More

明治の三人の偉人を訪ねる「花の三聖苑伊豆松崎」

幕末から明治へ。欧米に追いつくために、日本は「殖産興業」のスローガンのもと、産業育成に力を入れました。この時代の偉人を紹介する施設が、「道の駅 花の三聖苑伊豆松崎」です。この道の駅には、幕末の漢学者である土屋三余(つちや さんよ)、明治の実業家の依田佐二平(よだ さじべい)、その弟で北海道開拓に力を尽くした依田勉三という松崎町の偉人などを紹介する「三聖会堂」があり、1873年(明治6)開校の小学校、旧大沢学舎[町指定建造物]が移築されています。

Spot Access

道の駅花の三聖苑伊豆松崎
住所:静岡県賀茂郡松崎町大沢20-1
電話:0558-42-3420
営業時間:9:00~17:00
駐車場:あり

今回のモデルケース

今回のモデルコース

伊豆急下田駅
徒歩20分 車で5分
06 下田公園
見学所要時間(参考)/60分
徒歩15分
01 ペリーロード
見学所要時間(参考)/45分
散策途中
04 長楽寺
見学所要時間(参考)/20分
散策途中
02 了仙寺
見学所要時間(参考)/50分
車で10分
03 玉泉寺
見学所要時間(参考)/40分
車で18分
05 吉田松陰寓寄処
見学所要時間(参考)/30分
車で8分
伊豆急下田駅
散策途中
Tourism Association この地域の観光協会

下田市観光協会
Tel.0558-22-1531 [営業時間]8:30-17:00・年中無休

松崎町観光協会
Tel.0558-42-0745 [営業時間]8:30-17:00・年中無休

レガシズ

当サイトは、静岡県の文化財の様々な情報を発信するポータルサイトです。
愛称「レガシズ」は、英語の「レガシー(legacy=遺産・財産・受け継いだもの)」と、静岡県の「シズ」から付けられました。
ロゴマークについて