ほとけ出づる伊豆
しずおか遺産「ほとけ出づる祈りの里 伊豆」から
伊豆には、奈良時代から平安時代の仏像や、鎌倉時代の武士と仏師の関係によりもたらされた仏像が今に伝えられています。
函南町桑原区の薬師如来坐像や、熱海市伊豆山神社の走湯権現立像などは、箱根権現や伊豆権現といった修験道に関係した地に伝わっています。河津町南禅寺に伝来する十一面観音立像は、東日本では稀な奈良時代の彫刻仏像です。
慶派の仏師が造り出す写実的で力強い彫刻作品は、武士の精神性や理想像と深く共鳴しました。函南町桑原区の阿弥陀如来三尊像、伊豆市修禅寺の大日如来坐像、伊豆の国市北條寺の阿弥陀如来坐像などが慶派の広がりを感じさせます。
温泉や食に仏教への親しみも感じる伊豆で、仏像とその文化を愉しむことができます。
参考
→ しずおか遺産
Index
温泉の地に神像や仏像が集う「伊豆山郷土資料館」
伊豆山郷土資料館では、伊豆山神社の所蔵品を中心に、伊豆山地区に代々伝わる郷土資料が展示されています。
伊豆山神社には走湯権現立像[県指定彫刻]が伝わります。背面銘文に、明徳3年(1392)の製作年や製作に係った人の名が記されています。穏やかな表情で、立烏帽子を被り、袍に指貫、袈裟をかけた姿は、七福神の恵比寿さまを思わせます。
ここに座す伊豆権現は走湯権現とも呼ばれ、温泉が神聖視されていました。
伊豆山地区に上下2つあった常行堂の本尊と伝えられてきた宝冠阿弥陀如来坐像及び脇侍像[県指定彫刻]。脇侍とされている菩薩像は、引き締まった面貌などの表現に、鎌倉時代の慶派の特徴が指摘されています。
Spot Access
伊豆山郷土資料館
住所:静岡県熱海市伊豆山708-2
電話:0557-80-4252
駐車場:あり(伊豆山神社)
見学所要時間(参考):30分
平安仏と慶派仏師の仏像が集う「かんなみ仏の里美術館」
函南町桑原区では、複数の寺院や御堂にあった平安時代や鎌倉時代の仏像が、明治時代にまとめられ、仏像群24体が守られてきました。
その後、桑原区から函南町に寄付され、貴重な文化財を保存継承するとともに、来訪者の鑑賞、学習のための施設として「かんなみ仏の里美術館」が設置されました。
箱根権現との関係がうかがえる新光寺の本尊とされる薬師如来坐像[県指定彫刻]や、慶派の仏師である実慶が製作した阿弥陀如来三尊像[国指定彫刻]、平安時代末期から江戸時代にかけて製作された十二神将立像[県指定彫刻]などが所蔵されています。
また、資料展示室では、仏像の種類や役割、その特徴などを学ぶことができます。
Spot Access
かんなみ仏の里美術館
住所:静岡県田方郡函南町桑原89番地の1
電話:055-948-9330
駐車場:あり
見学所要時間(参考):45分
北条義時ゆかりの慶派仏師の仏像が伝わる「北條寺」
北条義時が創建したともいわれる寺院です。幼くして亡くなった嫡子の冥福を祈り、仏殿の本尊、阿弥陀如来坐像を慶派の仏師に命じて作らせたとされています。
この阿弥陀如来坐像[県指定彫刻]は、日本無類の尊容であり、以降慶派の阿弥陀如来像は存在しないとして「伊豆の無き阿弥陀」と呼ばれるようになったとも言われています。
本像とともに北條寺に伝わるのは、観音菩薩坐像[県指定彫刻]です。左足をおろし、右足を前にはずして座り、右手を後ろ手についてくつろいでいるような様子は、宋風を感じます。
Spot Access
北條寺
住所:静岡県伊豆の国市南江間862-1
電話:055-948-1399
駐車場:あり
拝観所要時間(参考):30分
温泉の地に実慶作の仏像が伝わる「修禅寺」
修禅寺は、弘法大師空海によって開創されたといわれる寺院です。
本尊は、慶派の仏師である実慶が製作した大日如来坐像[国指定彫刻]です。像内から、承元4年(1210)と実慶作の墨書銘が確認されました。男性的な面貌や肉付きよい体型などが表現されています。
本像とともに修善寺に伝わる釈迦如来坐像[県指定彫刻]は、禅宗式釈迦如来像で、宋風の影響がみられます。
修行に訪れた弘法大師が、病父の体を洗う子を見て独鈷で岩を砕くと、熱湯が湧き出たと伝わる場所は、現在、独鈷の湯として観光名所になっています。
Spot Access
修禅寺
住所:静岡県伊豆市修善寺964
電話:0558-72-0053
駐車場:なし(近隣に修善寺温泉駐車場(有料)あり)
拝観所要時間(参考):45分
26体を超える奈良・平安仏が集う「河津平安の仏像展示館」
南禅寺伝来諸像[国指定彫刻]は、河津町谷津地区の南禅寺堂に伝来した26体などの木彫群。
15世紀に起きた山崩れで土砂に埋もれ、長い時をかけて掘り出されたため、痛みのはげしい像が多くあります。
大半が10~11世紀の同系統の工房の継続的な造像が推定されますが、十一面観音立像は、奈良時代にさかのぼる製作とみられ、木彫像としては東日本最古の像の一つとして評価されています。
河津平安の仏像展示館は、地域住民が力を合わせ、仏像群の価値を再認識する勉強会や各地の展示施設の視察などを経て、平成25年(2013)に開設されました。
Spot Access
河津平安の仏像展示館
住所:静岡県賀茂郡河津町谷津138番地
電話:0558-34-0115
駐車場:あり
見学所要時間(参考):30分
阿弥陀如来坐像のお顔のスイーツ「あみにょん焼き」
かんなみ仏の里美術館に収蔵されている「阿弥陀如来坐像」をモチーフに、さっくり焼き上げたお菓子です。
通常廃棄されるバターミルクを原料に有効活用する環境配慮や、仏と食の融合による文化的継承といった地域の取り組み・活動が評価され、令和6年(2024)度グッドデザイン賞も受賞しています。
道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」では、白バターあんこ味とあんこ味が、土・日・祝日限定で販売されています。
Spot Access
道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」
住所:静岡県田方郡函南町塚本887-1
仏教文化の魅力発信を担う美術館
下田市の上原美術館は、平安・鎌倉時代の仏像や奈良時代の古写経などの仏教美術を収蔵し、仏教館では、伊豆の仏教文化の継続的な調査にもとづく企画展を毎年開催しています。
熱海市のMOA美術館は、国宝や重要文化財をはじめとした数多くの美術品を収蔵し、展示公開しています。令和8年(2026)秋には、伊豆の仏像に焦点を当てた展覧会「伊豆の仏像 パート1」が開催されます。
Spot Access
上原美術館
住所:静岡県下田市宇土金341
電話:0558-28-1228
駐車場:あり
MOA美術館
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
電話:0557-84-2511
駐車場:あり
今回のモデルコース
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愛称「レガシズ」は、英語の「レガシー(legacy=遺産・財産・受け継いだもの)」と、静岡県の「シズ」から付けられました。
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